RVA レヨンベールアクア水草図鑑

クリプトコリネとは
代表 佐々木 勇二
水草をテーマにしている方には、なくてはならない大きなグループのクリプトコリネ。
クリプトコリネの種類はその種の維持の重要性と、美しさを持ち合わせており、誠に風格があり又愛着のある水草である。
初心者の方からマニアの方まで、又水草栽培家からレイアウターまで、
水草と言われている植物の中で、通らなくてはならない門のような存在の植物で、通常水草として、
水槽にレイアウトのアイテムとして使うことが多いが、水中と水上を演出するアクアテラリューム等でも使え、
又完全水上での鉢植え栽培まで幅広い使い方が出来、
栽培者の創意工夫でバラエティーに富んだ楽しみ方が出来るのも大きな特徴といえる。
その一つは葉の形状が特徴的で水槽管理環境により、微妙に形状や色などを変化させる点にあり、
水槽で長年飼育されていた株は専門家でも容易に種の断定をするのは難しい事もあるほどだ。
水中・半水中・水上・等極端に変身を遂げるものもあり、飽きさせない魅力を持っている。

さらに、クリプトコリネの花は非常に神秘的で、その種類により様々な形態や色を持っており、
是非ともこの神秘的な花を眺めるのも飼育過程の目標にして頂きたい。
そのようなクリプトコリネは、どこでどのような場所に身をひそめているのであろうか?興味深く非常に重要な事でもある。
生息分布域は 西限はインド 東限はニューギニア 北限は中国南部 南限はインドネシア ジャワ島である。
主にマレー半島・ボルネオ・スマトラ・ニューギニア・フィリピン・アジア大陸・インド・スリランカ・などに広く自生するものである。
クリプトコリネの属は主に密林の中のゆっくりした流れのある場所に自生しており、
完全水中から水上にかけてひっそりと繁茂している。また大きな河川の下流域の岸辺や、山間部の上流でも流れが緩やかな場所や、
さらに山間部の岩盤にも繁茂している種類もある。種類によりさまざまな生息環境があることを御理解いただきたい。
Cryptocoryneという学名は、花の咲き方から付けられた名で、サトイモ科の植物には、
花序 Inflorescence(花軸に生じる花の配置状態)は非常に美しい仏炎苞に包まれていて、各種ごとに分類学上の特徴の重要なものの1つになっている。
Cryptoは<隠れている、秘密の、神秘的な、地下室>等を意味し、coryneは<花序>、つまり<花序が隠れている>花の咲き方を意味している。
分類学的には約60種類ほど知られており、Synonymや改良種又葉の形態違いで種類数を表すと100種を超えるほど、
非常にコレクション性の高い属である。
種類によって葉の形、色、斑紋等、様々な違いがある。
葉の形は楕円形、長楕円形、卵形、広卵形、心形、等あり、色は深い緑、黄緑、茶褐色、
や裏葉が紅いもの白いもの等、また葉に斑紋が入るものや、凹凸があるものもある。 花は仏炎苞に包まれ、保護されている。
仏炎苞は花の保護だけでなく、昆虫たちを招く門の役割がある。
仏炎苞に入った昆虫たちにより媒介され、結実→落下→発芽→繁殖されていく虫媒植物である。
又スコール等で大雨が降り川の水位が増した時等に仏炎苞の中の花序を守る為や昆虫たちが進入した時に弁 Valveが閉じるなど、
特殊なシステムも持ち合わせている。まさに神秘的な植物である。
クリプトコリネの根は非常に大切なもので、種類や環境によっては30cm以上になるものがあり、
植え替えの時などに根をいためると衰えたりすることもある。 根茎 Rhizomeには地下茎 Undergrund stemがあり、
不定根 Adventitious rootを生じそれが発達しひげ根茎 Fibrous root systemを作る。
根茎基部のえき芽が水平に伸びる匍匐枝 Stolon,runnerを作り新固体を生じ繁殖している。
クリプトコリネは多くの場合、株分けにより繁殖させるのが普通である。
さて、そのようなさまざまな魅力をかね揃えたクリプトコリネの栽培にチャレンジしてみよう!
まずはクリプトコリネを導入しなければならない。
その際のクリプトコリネの選ぶ前に、クリプトコリネの入手経路を知っておく必要がある。
一般的にファームなどで栽培されたものと採集されたものがある。
初めての方はファームなどで栽培されたものが、入手や管理も容易なので非常にお奨めである。
そのファームとは、どんな所でどのように栽培されているのだろうか?
まずは国内に導入されたクリプトコリネのファームの一部を列記してみる。
もちろん上記のファーム以外でもさまざまなところで栽培されているが、一般的に(私の頭の中で!)
流通してたものである。 オリエンタルはなんと言っても規模がかなりすごい!何度か私も足を運んだが、
1日では到底じっくり見て回れないほどだ。組織培養もかなりのレベルで行われており、さまざまな種類の培養を試みているようだ!
 
オリエンタル シンガポール 世界最大級ファームクリプトの種類もかなり豊富
トロピカ デンマーク トロピカの札がついている。上品な感じで人気も高い
ダッセン オランダ ここ最近流行っているファーム。フスカでデビューした。
バースHDB ドイツ エキノドルス バーシーで有名なバース氏のプライベートファーム。
サウスアイランド マレーシア 一般種が中心
ホワイトクレーン タイ 一般種が中心
アクアリュムセンター タイ 一般種が中心
デナリー ドイツ コード番号でコレクションする方も多かった。現在は国内に流通していない
HSP オランダ 一般種が中心だったが、なぜかマニア心をくすぐられた。
現在では採集物のクリプトコリネは非常に珍しく、
殆どがオランダやデンマーク、ドイツ、シンガポール、マレーシア、タイ、などのファームで生産させているのが一般的に販売されている。
   

クリプトコリネの種類